男と女の間には

夫と死別後に待っていた難問

彼女の回答

年もせまった12月後半。
昼休みに弁護士事務所へ連絡した。
とにかく、事務所に来るように、とのことでその日の内に退社後、向かった。

若い男性弁護士は偶然にも職場にも出入りしていた人。
初めに軽くあしらわれたベテラン女性は同じ弁護士事務所のトップ。
5人くらい、抱えている事務所かな?

弁護士はその二人が、ついてくれることになった。
証拠を予めスマホレベルで送っておいた。
ベテラン弁護士も今度は戦闘モード、やる気満々。
いける、という結論に至り、先方の弁護士宛てに文章を下書きしてくれることになった。

パソコンを持ち込んだが事務所では情報が洩れることがあるので
私のパソコンにワイハイを飛ばすことが出来ないのでネットが使えず。
男性弁護士にパソコンを預けた。


万が一先方が認めない場合、裁判になる。
十分裁判に持ち込む気持ちと証拠は準備できた。
お金も、支払う覚悟ができた。


そして、ここからは一旦年明けまで待つことにし、
その間に、頭を冷やすことにした。

年越しの家族団らんは慎ましかったけど、子供のことも考える余裕が少しできた。
少しだけ正常に戻ってきた気がする。

からの年明け。
正式に清書された慰謝料請求は、弁護士二人の名前が連名で書いてある。
本来の目的はお金ではなかった。
でも、この方法しか彼女のやり方に反論できない。
金額は思い切って300万円とした。

「投函しましたよ」
年が開けて、最終確認した慰謝料請求書を先ほど弁護士宛てに送ったという。
長かったような、すぐだったような。

「どの位で返事がきますかね?」
A先生は仕事が早いから、すぐ来るわよ。
A弁護士、全国放送になる事件にも関わっていたやり手。

その日から少し落ち着かない日々。
お昼休みにメールを送る。
返事はない。

次の日、午前中にポケットに忍ばせたスマホを給湯室でチラ見。
返信があった!

仕事中だったけど見つからないように周囲に注意して・・

「先方が不貞を認めて謝罪し要求をのみました。」

その時の満足感は、今まで生きてきた中でも特別だった。
勝ち誇ったような気持ちはいけない、悪からきているのだと罪悪感はあるが
これまでの私の気が狂う程の悲しみからすれば
ここは素直に喜こぼう。

神様に感謝した、言葉にできない瞬間だった。